こんにちは阿部です。
このブログではこんな疑問にお答えします。
私は母の土地にマイホームを建てました。
そもそもは、祖父が残した土地(90坪くらい)を「母・叔父」で2分の1づつ兄弟で相続した土地でした。
90坪の土地所有権は2分の1づつと登記されており、それを約4:6くらいで分筆しました。
そして私は母が相続したその4割部分に家を建てました。
このブログはこの経験を基に「親の土地に家を建てる場合の注意点」や「分筆登記にかかる期間・流れ・費用」などをまとめました。
目次 興味のある見出しをクリック♪
【ブログで学ぶ】親の土地にマイホームを建てる時の注意点【まとめ】
親の土地にマイホームを建てる場合の注意点
承諾書が必要
私のように「母」「叔父」兄弟の共有土地に家を建てるような場合すべての地主に建築の承諾書をもらう必要があります。
例えば我が家の場合「叔父・母」2人の土地であるためそれぞれに承諾書をもらう必要がありました。
土地の全部事項証明書(登記簿謄本)、私道に接していたため私道の登記簿謄本が必要でした。それぞれ法務局の窓口で請求できます。費用は一通600円程度です。印鑑登録証明証は300円程度。このような細かい費用が各種申請タイミングで必要になります。
兄弟で相続した場合等は抵当権に注意
分筆しないでも家は建てられるのですが「分筆」しないと相手方に抵当権設定の同意書を依頼する必要があります。
土地全てと建物に抵当権が設定されるからです。(担保にとられるということ)
共有土地全てに抵当権が設定されるため私の場合「叔父」にも抵当権設定について認めてもらう必要があるということです。
叔父の土地の一部に抵当権が設定されるとなると簡単にYESとは言えませんよね。そこで私は「分筆」が完了するまで計画をストップしました。分筆についてはのちほど詳細に解説します。
権利形態
住宅ローンを借りる際「土地の権利」について問われます。
- 地代を支払って土地を借り受けそこに家を建てれば「賃貸借」
- 自分で土地を購入すれば「所有権」
これらは耳慣れた言葉ですし理解しやすいですよね。
親の土地を無償で借り受けて家を建てる場合は「使用貸借」と呼びます。
土地の名義は「両親や祖父母」のままで「子」がマイホームを建てるような場合です。
銀行に住宅ローン申請する場合先ほど説明した「地主の承諾書」が必要になります。
親の土地にマイホームを建てると贈与税はかかる?
使用貸借の場合贈与税は課されません。
土地の名義が親のままの場合土地に関する固定資産税は「親」に請求されます。
ここでマイホームを建てた子がその額を親に支払うことも使用貸借として認められます。
以下に詳しく解説されています。
使用貸借による使用権の価額はゼロとされます。したがって、借地権の設定に際して対価として権利金等を支払う取引上の慣行がある地域において行われた使用貸借による土地の借受けであっても、税務上は地主から借受者に借地権の贈与があったとはされず、借受者に対して贈与税が課税されることはありません。
公益社団法人全日本不動産協会 「親子間で土地の使用貸借があった場合の税務 より
親の土地にマイホームを建てる【メリット&デメリット】
土地代が浮くので住宅ローンが楽になるのが最大のメリットですね。
デメリットで一番気になる点は「将来もめないか」という点では無いでしょうか。
そこでこのトラブルを回避するために私は土地を分筆しました。
分筆について詳しく解説しましょう。
親の土地を分筆
分筆とは?
分筆とは土地をわけること。
そのためには土地の大きさを正確に把握しなくてはなりません。
我が家のように境界の標がどこにあるか分からない、づれているとなると今一度正確に面積を測ることが必要です。
そのために境界確定測量を行い面積を正確に把握したのち、分筆線を決めて土地を2筆に分けて登記します。
これが分筆登記です。
分筆の事例
以下が我が家の例です。
私は土地AB(90坪くらい)の半分に家を建てます。
そこでまず土地ABを土地A・土地Bに分けることにしました。
この土地を分筆(2つに土地を分ける)と
こういうことになります。
分筆は誰に依頼するべき?
私が大失敗したのはココです!分筆すればそれぞれの土地に名義も分かれると思っていました。
すぐさま土地家屋調査士に電話して確認すると「土地家屋調査士では出来ない業務で、司法書士に依頼してください」とのこと。
こっちは、素人ですから、土地を分筆したら、その時に名義も一緒に変更できるものだと思っていたんです。そこまで説明してくれないと分からない。
もしこれから分筆するなら「持分移転登記」まで視野にいれて「司法書士」に依頼すると土地家屋調査士を紹介してくれてスムーズです。
土地家屋調査士に依頼するなら司法書士まで紹介まで依頼しましょう。
[/aside]
持分移転登記に必要な書類
土地を分筆後に名義を単独所有(ここでは、土地Aを母単独、土地Bを叔父単独)とするには、それぞれの共有持分を移転する登記が必要となります。
司法書士に依頼するとスムーズです。
必要資料を参考までにまとめました。
- 登記申請書
- 登記原因証明情報(共有物分割協議書)
- 登記識別情報
- 印鑑登録証明書(叔父)(母)
- 固定資産税評価証明書(分筆後の土地の評価が出ていない場合は分筆前の土地)
- 住民票(叔父)(母)
前回登記の時に交付された12桁の数字と記号の組み合わせです。目隠しのフィルムが貼ってあります。
分筆時には交付されないため、今回我が家の事例の場合、叔父と母が相続時1/2づつ土地を所有する登記を行った時に交付された登記識別情報になります。本人確認として使われます。
無くした場合、法務局に相談すれば「本人限定受け取り郵便」によって本人確認が可能です。
申請は個人でも可能ですがかなり専門的な要素も多いので私は司法書士に依頼しました。
では実際に測量から分筆が完了するまでにかかった期間&費用についてまとめましょう。
測量から分筆登記・移転登記が終わるまで
2019年2月に依頼し、境界立会いが2019年4月でした。
だいたい二ヶ月間かかりました。
市道も接しているため、役所との日程調整や、立会い人が多い場合はそれだけ期間を有するようです。
また依頼した土地家屋調査士さんの繁閑にも左右されるでしょう。
最終的に測量図、登記簿が出来上がったのが7月末頃。
依頼から終了するまで6ヶ月弱かかりました。

登記と測量にかかった費用
土地家屋調査士の報酬は、以前は規定が設けられていたようです。
しかし、現在は自由。
そこで、見積もりを必ず複数社から取りましょう。
私の場合 実に高い見積もりと安い見積もりで差額が13万もありました。
90坪弱の境界確定測量と分筆登記一式で56万弱くらいかかりました。立会う人数が多い場合などは費用もかさむようです。
親の土地にマイホームは安く無い?かかる費用
水道
親から引き継いだ土地の場合水道に留意しておく必要があります。
例えば二階建ての場合20mmの水道管が理想的ですが13mmの水道管しか引き込まれていない場合があるためです。
20mmを引き込めれば問題ありませんが、水道管が「私共有管」で20mmに変更できないという場合もあります。
解体
もし古家を解体して家を建てる場合解体費用がかかります。
見積りを簡単にとれるサービスがありますので資金計画にお役立て下さい。
親の土地を引き継ぐ⇒トラブルを回避する方法
相続でもめないように遺言に書いてもらう
親の土地にマイホームを建てる場合心配なのは相続のこと。
「将来あなたに譲るからここに建てなさい」と言われ仮に兄弟間で納得していても「嫁」が口を出してきて・・・なんて話もありえなくない話。
そのために我が家のように土地を分筆してお互いの持分を明確にしておいたり、遺言で将来譲る旨をしっかり明記するよう頼んでおきましょう。
相続時精算課税制度を利用する
親の財産を引き継ぐには、
- 贈与
- 相続
が考えられます。
生きているうちに贈与してもらうのがトラブルをさけるには一番理想的ですよね。
でも問題は贈与税が高いこと。
そこで生前贈与してもらい課税は「相続」時に行う「相続時精算課税制度」というものがあります。
簡単に説明すると親から子へ土地を生前贈与する場合評価額が110万円以上の部分に贈与税がかかります。
ところが、相続時精算課税制度を選択すれば「贈与の特別控除・2500万円」を限度に贈与税がかからなくなります。
例えば親が元気なうちに子供に土地の名義を変更しても、相続時まで課税を先送りできるという訳です。しかも相続税は3000万円まで非課税なので遺産でもめないための一つの選択肢かも知れません。